「受け継がれたもの│JIN -仁- 第11話 最終回」

  • 2011/06/27(月) 16:02:08

JIN -仁- 第11話「完結~時空の果て…150年の愛と命の物語が起こす奇跡のタイムスリップの結末」


以降、ネタバレします。ご注意を。


<感想>

結局、神は何をしたかったのだろう?

仁を江戸に送り、未来をどうしたかったのだろう?

龍馬は死んでしまったし、仲間たちも仁の存在を忘れてしまった。


でも、確かに、残ったものも。


神かどうかは分からないけれど、ある存在が、変容を望んだ。

その変容のために、別の世界から、仁が呼ばれた。

限られた規制の中で、仁には仕事が与えられる。

仁が触媒となって、江戸の仲間たちを、変えていく。

仁には歴史を変えることはゆるされないけれど、その時代を生きている人には、それがゆるされる。

時代を変えることが、ゆるされる。


仁は確かに、時代を変えた。

出会った人々によって、未来を変えた。

その報酬も、やはり未来。

また生まれたいと思うような、そんな未来。



そんな未来が、過酷な運命の先に…




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<あらすじ>


・日増しにひどくなる、南方仁(大沢たかお)の症状。
・治すには、元の世に戻るしかないのか?

・勝海舟(小日向文世)から橘恭太郎(小出恵介)に、フランス留学の話が持ちかけられました。
・願ってもない話のはずですが、恭太郎の表情は晴れない。
・勝は言いました。
・「おめえがいくら悔やんだって、アイツはかえってこねえんだ」
・「前を向けよ、恭太郎!」

・上野寛永寺に、徳川の者たちが集結していました。
・彰義隊と名乗り、官軍を牽制している。
・町では、錦切れ(きんぎれ)を取るなど、揉め事も。

・そんな中、松本良順(奥田達士)は会津若松に行くと、仁に話した。
・旧幕府軍が集まり、戦がはじまろうとしている。
・徳川の禄を食む身として、最後までお供しようという考えでした。

・江戸の終わりを感じる、仁。
・そしてこのままでは、自身の人生も終わるのだろうと感じる。
・分からないことが、山ほどあるのに。
・仁は、ふと思いました。
・俺がここに来た意味も、分からないまま終わるんだろうか?
・ここで終わりを迎えるとして、最後に俺ができることは、何だろう?


・町を眺めると、そこには笑顔がありました。
・未来では失われたものが、そこに。
・いったいどこで、この屈託のない笑顔は、失われてしまったのだろう?


・そうしているうちにも、仁の症状は進行。
・食事中に、器を落とすことも。
・そんなある日、仁は、橘咲(綾瀬はるか)の後姿に、野風(中谷美紀)を見ました。
・これも、ガンのせいなのか?

・仁のガンを摘出するには、バイポーラという装置が必要です。
・それを江戸の世に再現させるのは、不可能。
・そんな話を笑いながらする仁に、咲はめずらしく声を荒げた。
・「こんな時に、無理にお笑いにならないでくださいませ!」

・江戸の人々は笑うのが上手だと話す、仁。
・それを見習いたいと思ったけど、うまくいってないみたいだと、苦笑い。

・「元の世に、お戻りになられる方法はないのでございますか?」
・咲はそう問いますが、なかなかそう都合よくはいかない。

・「そりゃ、助かりたいですよ」と、仁も言います。
・「でも、できないことを考えて嘆くより、できることやって、笑っていたいというか」


・医者が最後にできることは何か?
・そう考えた仁は、仲間を集めました。
・そこで、自分が亡くなったら腑分け(解剖)してほしいと、申し出ました。
・これから脳の構造と働き、脳腫瘍についての集中講義をするので、仕上げに実物を見てほしいと。
・自分が残せるのは知識だけだから、できるだけのものを残したいからと。
・「わたしの死をみなさんの手で、できるだけ意味のあるものにしてほしいんです」
・仁は、そう言った。

・仲間たちが唖然とする中、咲は、はいと頷きました。
・笑顔を作って。


・恭太郎は、彰義隊に加わるよう、迫られていました。
・悩みに悩み抜いた恭太郎は、寛永寺へ。


・脳の構造と腫瘍について講義する、仁。
・その最中にも、激しい頭痛が。
・命を削りながら、できるだけのものを残そうとします。


・一度家に戻った、恭太郎。
・母 栄(麻生祐未)に、そろそろ咲をゆるしてほしいと話した。
・そして、世も明けぬうちに寛永寺に戻る。
・翌日、官軍による攻撃が開始されました。

・江戸の街にも、砲撃音が響き渡る。
・仁と咲は、恭太郎が残した手紙を読みます。

“わたくしは訳あって、あるお方を死に追いやりました。その方は、わたくしの何倍も、生きる値打ちのある方でございました。かようなわたくしを、恩ある先生方は責めることもせず、ただ前を向けとおっしゃってくださいます。ですが、将来あるお方の命を奪っておきながら、のうのうと己の道を開いてゆくことを、己にゆるすことはできません。下らぬわたくしが、ただひとつ誇れることがあるとするなら、それは最後まで徳川の家臣として忠節を尽くしたということのみでございます”


・兄の元に向かおうとする咲を、栄がとめます。
・後生だからと。

・咲は、必ず戻ると約束しました。
・兄上と一緒に、必ず無事に帰ってくる。
・だから、その時は、門をくぐらせてほしいと。


・体が思うように動かない仁に代わり、佐分利祐輔(桐谷健太)が咲に同行しました。
・仁は仁友堂に戻り、野戦の治療所の準備を。


・上野は戦場と化していました。
・砲撃が土をえぐり、銃弾が飛び交う。
・雨の中、咲と佐分利は走ります。
・傷ついた人々が、土の上に転がっている。

・ついに咲は、兄の姿を見つけました。
・名を呼ぶ咲に、恭太郎も気づく。
・駆け寄ろうとした咲を、流れ弾が襲いました。
・左腕に銃弾が当たった。

・駆け寄る恭太郎に笑顔を見せる、咲。
・「兄上、咲は甘えてばかりでございました」
・「己のことにばかりとらわれ、兄上のお気持ちを思いやることもせず、これからは、ご恩返しをしとうございます」
・だから、戻ってほしいと。

・自分には生きる値打ちなどないと言う恭太郎に、佐分利は怒鳴った。
・「死ぬんやったら、南方先生に断ってからやろ!」
・「助けてもろた命ですけど、捨ててええでっか? って!」
・「ちゃいまっか?」

・妹を背負い、恭太郎は走った。
・そこには、仁友堂の医学生、八木と横松の姿も。
・恭太郎らは、仁が野戦治療所を開いたことを知らされます。


・その治療所に、勝は抗議していました。
・医学所まで呼んだら、徳川は彰義隊を認めたことになってしまう。

・と、「医者は、医の道を歩くのみ」、そんな声が。
・振り返ると、多紀元琰(相島一之)がいました。
・「おさまらぬものをおさめるのが、政の道であろう」
・そう話す多紀は、仁に協力を申し出ました。
・外科的な治療はできないが、それでも役に立てることがないわけではないだろうと。

・「好きな様にやりやがれ、バカ医者が!」
・勝は、うれしそうに、そう言って帰った。
・医者に医者の道があるように、勝には勝のできることがある。


・そこに、咲が運ばれてきました。
・すぐに診療台に寝かされます。
・死に至るような傷ではないと笑って見せる、咲。
・次々と運ばれてくる負傷者を見て、他の者を先に診て下さいと願いました。
・自身の手で治療したい仁ですが、手が思うように動かない。
・結局処置は、佐分利がすることに。

・自身の不甲斐なさを責める仁に、声が聞こえました。
・「口八丁、手八丁ぜよ、せんせえ」
・「手ぇが動かんかったら、口を動かせばえい」
・この声は、坂本龍馬(内野聖陽)?

・仁は、みなを指導することに専念。
・手は動かせませんが、その代わりに、みなを動かし、手を借りる。

・そんな様子を見て、咲は、まるで夢を見ているようだと。
・蘭方と本道の医師が、共に手を取り合って、治療に当たっている。
・その間には、南方仁という存在が。


・恭太郎は仁に、実は二度も遺書を書いたと、告白。
・仁は、はじめて恭太郎に会った時の言葉を、伝えます。
・あの時、恭太郎は、橘家を守るために死ぬわけにはいかない、と言った。
・仁は、言いました。
・「恭太郎さんは、ずっとそうなんですよ」
・「恭太郎さんが命懸けで守ってきたのは、徳川じゃない」
・「橘の家なんじゃないですか?」

・恭太郎は、戦場に戻ることを拒否しました。
・「わたくしの誇りは、徳川のために死ぬことではございませぬ」と。


・数日後、頭痛と嘔吐に苦しむ仁に、また声が聞こえた。
・「せんせえ、ここじゃ」
・「せんせえ、頭の中じゃ」
・「わしが話すと、痛むがかい?」
・これは、幻聴?

・佐分利は、どうして自分はヤブなんだろうと、落胆した。
・一番助けたい人には、結局、何もできない。
・しかし、仁は、笑って言いました。
・「佐分利先生は、すごい医者になると思いますよ」
・「わたしが自分がヤブだって気づいたのは、たった6年前だったんです」
・「それに比べたら、佐分利先生はびっくりするぐらい、はやいです」

・そして、思わぬことが判明した。
・倒れた咲の傷を調べたところ、緑膿菌に感染していることが発覚。
・この菌に、ペニシリンは効かない。

・自然回復を望み、免疫力を高める努力が続けられました。
・が、容体は好転しなかった。
・このままでは敗血症ショックを起こし、死に至る可能性も。


・仁は、あることを思い出しました。
・この時代に来る時、ホスミシンをポケットに入れたかもしれない。
・ホスミシンさえあれば、咲は救われる。

・すぐに戻って来ますと約束し、ホスミシンを探しに出た、仁。
・咲は、奇妙な感覚に襲われました。
・離れた手が、言葉にできない何かを感じさせる。

・仁友堂の仲間に、恭太郎。
・みんなして、ホスミシンを探す。
・橘家に仁友堂、街中まで、くまなく探す。

・仁は、この時代に飛ばされた場所へ。
・と、その時、また頭の中から声がしました。
・「戻るぜよ、せんせえ」
・「咲さんを助けたくば戻れち、せんせえの頭の中におるやつが、言うちょるがじゃ」
・「せんせえは、どこから来たがじゃ?」

・仁は、思い出した。
・あの時 患者は、錦糸公園内で倒れていた。
・そして気づく。
・入り口と出口は違うのだと。

・仁と恭太郎は、錦糸町へ。
・途中、残党狩りの官軍と遭遇しますが、それを恭太郎が引受け、仁を向かわせる。
・頭の中の声が、導いてくれました。
・官軍に頭を少し斬られましたが、咲の為、不自由な体を懸命に動かす。

・その先は、崖でした。
・だが、あの声が呼ぶ。
・「戻るぜよ、せんせえ」

・仁は、崖めがけて、飛び込んだ。




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・錦糸公園内で、男が倒れているのが発見された。
・すぐに緊急搬送され、病院へ。

・メスを握るのは、数年前の南方仁?
・そして、手術台にいるのも、仁?
・赤ん坊形の、腫瘍が摘出される。

・夢の中だろうか、仁は龍馬と共に、浜辺で語らっていました。
・が、急に龍馬が、海の中に歩みだした。
・腰まで海に入ると、龍馬は振り返って言いました。
・「せんせえはいつか、わしらのことを忘れるぜよ」
・「けんど、悲しまんでえい」
・「わしらはずうっと、せんせえと共におるぜよ」
・「見えんでも、聞こえんでも、おるぜよ」
・「いつの日ぃも、せんせえと共に」

・龍馬は最高の笑顔を見せて、海に消えて行った。
・まるで故郷に帰るかのように。


・仁は、仁によって手術され、腫瘍は取り除かれた。
・あの時と違うのは、仁の意識が、手術される方にあること。
・今ベッドで眠る仁は、あの時、手術する方だった。
・では、今手術した仁は?


・目覚めた仁は、ホスミシンを探す。
・そして、あの時と同じように、救急医療用のパッキングを抱え、自分の腫瘍も持ち出した。

・歴史は、繰り返される。
・非常階段で、仁は仁に、見つかった。
・そしてあの時と同じように、現代の仁は階段から落ちて、消えた。
・が、江戸に帰りたいと願う仁は、現代に残される結果に。


・再び病室で目覚める、仁。
・目の前には、同僚の医師(戸次重幸)が。

・ここから、奇妙なことが立て続けに起こります。
・仁の腫瘍は、普通の良性腫瘍だという。
・また、運ばれた時も、着物ではなく普通の洋服だったと。
・執刀したのは、その同僚医師だといいます。

・これはいったい、どういうことなのか?

・仁が仁を手術したという事実は、胎児様腫瘍と共に消えていました。
・そして、入院しているはずの友永未来の姿もない。

・仁は考える。
・これは俺が歴史を変えた結果なのか?
・それとも、俺が関わった日々は、すべて修正されているんだろうか?



・仁は、同じ病院の研修医 野口(山本耕史)に切り出しました。
・小説を書くことを口実に、自分の身に起こったことを検証しようとした。

・野口の考えは、こうでした。
・この世界は実はひとつではなくて、少しずつ違う世界が、いくつも存在する。
・つまり、パラレルワールド。
・主人公の医者は(A)という世界で生きていた。
・彼は(A)の世界の幕末にタイムスリップしたと思っているが、実は、飛ばされたのは、(B)の幕末。
・そして、もともと(B)の世界で生きていたもう一人の自分に手術されて、今度は(B)の医者が、(C)の幕末に飛ばされる。

・このようなことが、それぞれの世界で、延々と行われると。
・ただ、江戸に行くのは、2009年の10月11日であり、戻って来るのは、1868年の5月20日。

・頭の中にいた胎児様腫瘍は、バニシングツイン。
・もともとふたつあった受精卵のひとつが、いつの間にか吸収されて、消える症状。
・消えた方の組織が残った方の体に取り込まれる現象は、10万人に1人の割合で起こる。
・この医者の場合は、それを頭の中に抱えたままで成長し、それがガン化した。

・坂本龍馬の件は、こう説明できる。
・実際に心臓移植をされた人は、術後に、ドナーと好みや性格が近くなることがある。
・この男の場合は、龍馬から、血とか脳しょうとか、何らかの細胞を浴びて、人格が頭の中の胎児と一体化したと、仮定できる。

・でも、この医者は結局、歴史を変えたことになるんだろうか?
・医者は、(B)というパラレルワールドに行った。
・だったらその歴史は、もともと知っている歴史とは違うものだったかもしれない。
・ということは、結局、何もしなかったことと一緒になるのか?

・あの日々には、どんな意味があったというのだろう?


・仁は、自分で確かめる決意を。

・まずは図書館へ。
・ペニシリンはイギリスのフレミングによって、1928年に発見された。
・この記載は、同じ。
・しかし、“日本では既に土着的に生産されていた”とも書かれています。

・歴史は、変わったのだ。

・ペニシリンを土着的な方法で開発し、それを通じ、古来の本道と西洋医学を融合させ、日本独自の和洋折衷の医療を作り上げた医療結社は、“仁友堂”と呼ばれる。
・そう書いてある。

・だけど、いくら調べても、そこにないものがふたつありました。
・仁の名前と、橘咲という名前。


・仁は記憶を頼りに、橘家のあった場所へ。
・そこには、看板が掲げられていた。
・“橘醫院”。

・さらに仁は、運命的な出会いを。
・橘家の娘と出くわしたのです。
・その顔は、野風と、そっくりだった。

・思い切って、仁は、咲についてたずねます。
・確かに、先祖に橘咲はいた。

・仁はゆるしを得て、その女性から話を聞くことに。
・橘咲は、明治維新の後に実家を改造して、ここに橘醫院を開いた。
・明治初期の女医ということで珍しかったはずですが、咲はあまり注目されていませんでした。
・小児科や産科が主だったようで、どうも産婆さんの延長として見られていたらしい。

・女性は、咲の写真を見せてくれた。
・老いた咲が白衣をまとい、診察室に座っている。

・咲は、長生きしたらしい。
・一度生死の境をさまよったらしいのですが、奇跡的に助かったとも。
・それにはお話があって、兄の恭太郎が、林の中でガラス瓶に入った薬を拾ったというのです。

・仁は、橘咲に深く関わった医者はいないかと、たずねました。
・女性によれば、佐分利祐輔や山田純庵とは、交流があったらしい。

・セピア色の写真の中には、咲や佐分利、山田ら、懐かしい人々の姿が。
・けれど、仁の姿は、どこにもない。

・野口の仮説を考えると、この時代にいた仁は、別の世界の幕末に飛ばされていることになる。
・ということは、ホスミシンだけが、この世界の幕末に運ばれたのだろうか?
・それはひょっとして、神様からの贈り物?
・歴史に修正が加えられ、仁の痕跡は消されたけれど、咲の存在はゆるされた。

・と、仁はある写真に目を留めました。
・坂本龍馬の写真。
・一緒に撮った、あの写真。
・だけれど、自分の姿だけが、消えている。

・女性によれば、恭太郎は坂本龍馬と縁があったのだという。
・龍馬の船中九策の九番目、みなが等しく適切な医療を受けられる保険なる制度を作ること、その部分に感銘を受けて、その実現に奔走した。
・この世界では、日本の国民医療費負担は世界で最も低い。
・そして総合病院には、東洋内科という科も。

・世界は確かに、変わったのだ。
・そして、野口の説によると、別の仁が飛ばされた別の世界も、きっと、このように変化するのだろう。


・写真の中に、咲が子供を抱いたものが。
・それは、咲の娘だという。
・友人から引き取った、養女。
・裏に名前が書かれていました。
・安寿、と。

・これは、野風の娘か。
・咲は生涯、独身だったといいます。
・ということは、現在の橘家には、安寿の血が。

・咲と野風が、こんな奇跡を、生み出してくれたのだ。

・何の言葉も見つけられないまま、仁はただただ、泣きました。
・そして目の前の女性も、不思議そうな顔ひとつせず、それを見守ってくれた。


・別れ際、女性は仁に、聞きました。
・「揚げ出し豆腐は、お好きですか?」
・そして、仁がはいと答えると、手紙を手渡してくれました。
・「ずっと、あなたを待っていた気がします」
・そう言って。

・仁は最後に、名前を聞きました。
・「橘未来です」
・女性は、そう答えた。

・未来は、新たに生まれたのだ。


・手紙は、咲が書いたものだった。

“○○先生へ 

先生、お元気でいらっしゃいますでしょうか。おかしな書き出しでございますこと、深くお詫び申し上げます。実は、感染症から一命を取り留めた後、どうしても先生の名が思い出せず、先生方に確かめたところ、仁友堂にはそのような先生などおいでにならず、ここはわたくしたちが起こした治療所だと言われました。何かがおかしい、そう思いながらも、わたくしもまた、次第にそのように思うようになりました。夢でも見ていたのであろうと。

なれど、ある日のこと、見たこともない奇妙な銅の丸い板(10円銅貨)を見つけたのでございます。その板を見ているうちに、わたくしは、おぼろげに思い出しました。ここには、先生と呼ばれたお方がいたことを。そのお方は、揚げ出し豆腐がお好きであったこと。涙もろいお方であったこと。神のごとき手を持ち、なれど決して神などではなく、迷い傷つき、お心を砕かれ、ひたすら懸命に治療に当たられる、仁をお持ちの人であったこと。

わたくしはそのお方に、この世で一番美しい夕陽をいただきましたことを、思い出しました。もう名も、お顔も、思い出せぬそのお方に、恋をしておりましたことを。

なれど、きっとこのままでは、わたくしは、いつかすべてを忘れてしまう。この涙の訳までも、失ってしまう。なぜか耳に残っている、修正力という言葉。わたくしは、この思い出を無きものとされてしまう気がいたしました。ならば、と、筆をとった次第にございます。わたくしがこの出来事に抗う術はひとつ、この想いを記すことでございます。

○○先生、あらためて、ここに書き留めさせていただきます。

橘咲は、先生をお慕い申しておりました”


・手紙を読み終え、落ち着くのを待ってから、仁は言った。
・「わたしもですよ、咲さん」
・「わたしも、お慕い申しておりました」
・涙が、古い手紙に落ちた。



・医者として復帰した、仁。
・緊急搬送された女性に、厄介なことが判明しました。
・脳に腫瘍があり、しかも脳幹部に食い込んでいる。

・その女性の名は、橘未来。
・仁は、その患者を執刀したいと申し出た。

・その先にある物は…





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「文明の幻想と顔│JIN -仁- 第10話」

  • 2011/06/25(土) 12:05:57

JIN -仁- 第10話「最終章前編~タイムスリップの結末…」


<感想>

当たり前が、目を見えなくする。

本当は当たり前じゃないのに、ずっとそこにあると、当たり前だと錯覚を起こす。

ほんの少し前には、無かったのに。


仁は言った。

「教わることだらけでした」

「ひとりで生きていけるなんて、文明が作った幻想だなあ」

「人生って、ほんと、一期一会だなあ」

「あと、笑った人が多いです。ここの人達は、笑うのが上手です」


手にしたものと、失くしたものが、いつも後ろめたさを連れてくる。

すみません、幸せはおいくらですか?


(長渕剛「HEAVY GAUGE」より)




仁は、こうも思った。

「咲さんは、俺がここにいなければ、こんな顔をすることは、なかったんじゃないだろうか?」


確かに、そうかもしれない。

でも、仁が来たことで、他の表情もまた、生まれたのでは?

仁を見つめる咲の表情は、どうだっただろう?


それはもう、取り消すことができない、大事なものなのでは…




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<あらすじ>


・東修介(佐藤隆太)の剣が、坂本龍馬(内野聖陽)の額を横一文字に引き裂いた。
・龍馬暗殺は回避されたかに思えた矢先の、まさかの出来事。
・このまま龍馬は、死んでしまうのか?

・倒れた龍馬が、東の名を呼びました。
・そこで東は、告白した。
・自分の兄は、龍馬に斬られたのだと。
・龍馬は、東の仇(かたき)だったのです。
・初めからそのつもりで近づいたのだと、東は言った。

・しかし、龍馬は、その言葉を信じない。
・龍馬は言いました。
・「これも、わしを守るためじゃろ?」


・致命傷を負ってしまった、龍馬。
・薄れゆく意識の中で、南方仁(大沢たかお)にこう言いました。
・「南方仁がおれば、坂本龍馬は死なん」
・「そうじゃろ?」
・仁も約束する。
・「助けます。俺が、この手で」
・血まみれのふたりは、笑い合った。


・すぐに手術が開始されました。
・左前頭部の骨が陥没。
・その下の硬膜が破れ、大脳の一部が外に出かかっている。
・開放性頭蓋骨陥没骨折、脳挫傷に急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血の疑いもある。

・メスを握り、仁は思う。
・俺はきっと、このために、ここにきたのだ。
・この時のために。
・坂本龍馬を蘇らせるために。


・開頭し、患部の骨を外し、硬膜を切開する。
・この時代にあるはずのない技術で、救命が試みられます。
・助手は、橘咲(綾瀬はるか)と佐分利祐輔(桐谷健太)。
・既に、欠かせない戦力となっていました。

・脳挫傷により、脳が膨らんでいる。
・どんどん腫れているようにも見える。
・脳圧を下げるべく、髄液を取り除きます。
・手ごたえだけが頼りの、難しい処置。
・と、その時、龍馬の髄液が、仁の顔にかかった。

・患部を縫合し、開頭手術は成功。
・続いて大腿部外側を切開します。
・そこに、頭の骨片を保存する。

・その時、仁は激しい頭痛に襲われました。
・聞こえるのは、あの不思議な声。
・「俺は、おまえだ」
・「おまんは、わしじゃ」
・手術を続けようとする仁ですが、体が思うように動きません。

・「わたしがやりますんで、指図をお願いできますか?」
・佐分利が、そう申し出ました。
・その覚悟を信じ、仁は苦しみの中、指示する。


・手術は、うまくいきました。
・けれど、これから、脳浮腫などとの戦いが待っている。
・龍馬の頭には、脳圧を下げるためのチューブがつながれています。
・また、自発呼吸が回復するまで、アンビューバッグで人工呼吸が。


・状況を整理する、仁と咲、それに佐分利。
・咲の兄 橘恭太郎(小出恵介)の役目とは、おそらく龍馬暗殺だったのだろう。
・でも、実際に斬ったのは、東。
・東は、龍馬を兄の仇だと言った。

・気遣いを見せる仁に、咲は言いました。
・「わたくしも、医者の端くれでございます」

・3人は、龍馬の命を救うことに、全力を注ぐ。
・交代でアンビューバッグを持ち、手動で人工呼吸を。
・祈るような気持ちで。


・手術から、4日目。
・容態は、なかなか好転しませんでした。
・そこで、咲がある提案を。
・野風(中谷美紀)から預かっていた手紙を、耳元で読もうというのです。
・仁は、それに賭けてみることにしました。

“坂本さま、お元気でございんしょうか? わたくしごとでありんすが、あちきはこの度、母となりんした。仁友堂のみなさまのお力で、取り上げていただきんした。けんど、ふと振り返れば、実のところ、旦那様と出会うまでの間、あちきはずっと、坂本さまのお心に、支えられて来た気がいたしんす。叶わぬ思いにやけにならずにいられたのは、坂本さまがあちきなんぞに、好きだ惚れたと言ってくださったからこそ。女子はずるうござりんすな。胸を貸していただいた、あの日のご恩は、一生忘れんせん。いつか、フランスにいらっしゃられる折には、何卒、お知らせくださいまし。心より、おもてなしいたしんす”

・眠り続ける龍馬に、仁はささやきかけます。
・「待ちに待った逢引きのお誘いですよ」
・「行かないでどうするんですか?」

・その時、アンビューバッグを握る佐分利に、奇妙な感覚が。
・龍馬が、自発呼吸を回復した。
・自分で息をしはじめました。
・これで意識が戻れば、望みが持てる。


・その日から仁は、龍馬が喰いついて来そうな未来の話を語りはじめました。
・携帯電話の話に、メールの話。
・新幹線、飛行機、そんな未来の話をする。

・けれど、例の頭痛は起こりませんでした。
・またその一方で、まるで頭痛が起こることを望んでいるようでもある。
・仁は、こう考えていた。
・頭痛が起こるっていうことは、龍馬さんがまだ生きられるってこと。

・その時、龍馬のまぶたが動きました。
・そしてやがて、ゆっくりと目を開いた。

・妙な夢を見たと、龍馬は言いました。
・箱を連ねたような巨大なヘビが、這いまわっている。
・空には、巨大な鳥のようなものが。
・みんな西洋人のような服装で、小さな箱に独り言をじゃべっている。

・それはおそらく、新幹線に飛行機、そして、携帯電話。
・龍馬はどうやら、未来を見たらしい。

・「わしもせんせえのように、別の時代に行きたいねえゃ」
・龍馬は、そう言った。
・保険の会社を作りたいとも。
・そして、こう聞きました。
・「せんせえには、この時代は、どう見えたがじゃ?」

・仁は答える。
・「教わることだらけでした」
・例えば、未来は、夜でも明るい。
・でも、この時代では、提灯を下げないと夜歩けない。
・また、提灯の火が消えたら、誰かにもらわないといけない。
・「ひとりで生きていけるなんて、文明が作った幻想だなあとか」
・「離れてしまったら、手紙しか頼る方法ないし、ちゃんと届いたかどうかも分からないし」
・「人生って、ほんと、一期一会だなあとか」
・「あと、笑った人が多いです」
・「ここの人達は、笑うのが上手です」

・病床の龍馬も、笑ってみせた。

・思えば、いつも龍馬さんが助けてくれたと、仁は振り返る。
・「本物の行動力っていうか、教わりましたよ、龍馬さんに」
・「龍馬さんは、親友で、悪友で、わたしのヒーローでした」

・上体を起こした龍馬ですが、急に苦しみだしました。
・脈拍、血圧、共に、低下している。
・人工呼吸器を拒否し、龍馬は仁に語りかけた。
・「せんせえ、わしゃ、ちゃんと、せんせえの生まれてくる国を、つくれたかのう?」
・「せんせえのように、やさしゅうて、バカ正直な人間が笑うて生きていける国を」
・はい、という仁の返事を聞いて、龍馬は眠るように目を閉じました。
・「まっこと…」

・蘇生を試みる、仁。
・脈は止まっている。
・戻ってこい! と懸命の心臓マッサージを続ける。

・そんな仁に、声が聞こえました。
・「もう、やめるぜよ、せんせえ」
・「ほれ、一緒に行くぜよ」
・この声は、龍馬さん?

・龍馬は安らかな顔をして、逝った。

・また、同じころ、東は橋の下で、自害していました。

・野風は、娘の安寿に話しかけていた。
・昔、雪になりたいと思っていたと。
・そうすれば、どこへでも行ける。
・愛しい人の肩に、落ちていくこともできる。
・「安寿、これが雪でありんすよ」
・雪を手に取ると、溶けて、まるで涙のように。


・東自害の報は、薩摩藩邸にも届きました。
・遺書には、こう書かれていたらしい。
・このままでは、仇を討つ前に、誰かに坂本龍馬を殺されてしまうかもしれない。
・その前に自分が本懐を遂げたのだと。

・大久保一蔵(眞島秀和)に、西郷隆盛(藤本隆宏)は言いました。
・東は、坂本龍馬の作ったものを、守ったのかもしれない。
・もしかしてあの夜、坂本龍馬は襲われ、東はもう守りきれないと思ったのかもしれない。
・それが仮に徳川だったとすれば、大政奉還は徳川の本意ではなかったことになる。
・そうなると、坂本龍馬の成し遂げた仕事は、水の泡になるだろう。
・だが、ただの仇討であれば、誰も文句は言えない。

・坂本の志を継いでやろうと思ったのではないか?
・そう言う大久保に、西郷は言った。
・「あげなこつは、坂本さあにしかできん」
・そして厳しい表情で、「おいは、おいのやり方しか知らん」とも。


・仁も、東について考えていました。
・龍馬さんに重傷を負わせれば、恭太郎さんたちは去る。
・その後、自分が治すことを願っていたのではないかと。

・しかし、咲はこういいます。
・そのような考えなら、あそこまでの傷を負わすことはなかったのでは。
・「東さまがお守りしようとしたのは、坂本さまの生き方のようなものだったのではないかと」

・龍馬の形見分けとして、仁はあの写真をもらった。
・長崎で撮った、仁と龍馬が映った写真。
・龍馬は、肌身離さず、これを持っていたらしい。

・兄のことをゆるしてほしいと頭を下げる、咲。
・その顔を見て、仁は思った。
・咲さんは、俺がここにいなければ、こんな顔をすることは、なかったんじゃないだろうか?
・俺はここにいる人を救えないばかりか、運命の歯車を狂わせているだけなんじゃないだろうか?



・仁友堂に帰った仁たちは、驚きました。
・閉門され、あちこちに非難の言葉が書かれてある。
・仲間たちが出迎えてくれましたが、山田純庵(田口浩正)の様子がおかしい。
・髪には、白いものまで。

・事情を聞いて、仁たちは、なお驚きました。
・ニセのペニシリン製造法を教えたと、訴えられたというのです。
・山田純庵は仁に代わって牢に入れられ、責めを受けていた。

・窮地に陥った仁友堂を救ってくれたのは、松本良順(奥田達士)に多紀元琰(相島一之)、それに勝海舟(小日向文世)。
・鈴屋彦三郎(六平直政)から仁友堂を深く恨む者として、三隅俊斉(深水三章)の名を教えられました。
・策を仕掛けた、面々。
・内幕を話したいという医者が出てきたと、わざと三隅の耳に入るように仕向けます。
・慌てた三隅は協力した医者を集め、毒殺しようとした。
・その現場を、押さえたのでした。


・またしても自分が来たことで仲間を苦しめてしまったのか?
・仁は、胸が締め付けられるような気持ちに。
・そこで、仁友堂の解散を、口にしました。
・自分は疫病神で、ここに来なければ、みんな医学所や医学館で、出世できただろうし、こんな目に遭わなくて済んだろう。
・患者さんだって、自分が治療を行わなければ、苦しみを長引かせることはなかったのかもしれない。
・そして、自分の頭の中にはガンがあるとも。
・かなり進行しているようだし、このままでは、ここを続けていくことも困難になると。

・山田は言いました。
・「わたしたちに、病人を置いて出て行けとおっしゃるのですか?」
・「そのようなお言葉に従っては、緒方先生に向ける顔がございませぬ!」

・仁友堂には、緒方洪庵(武田鉄矢)直筆の書が掲げられていた。
・“国の為、道の為”

・佐分利も言いました。
・「先生、わたしの夢は、この世で一番の医者になることでございました」
・「先生が疫病神でも、鬼でも、何やヘンな夢ばっかり見とっても、出会えたことを後悔したことなど、一瞬たりともございません」
・そう言って、笑った。

・咲も言いました。
・「先生、わたくしどもに、持てるすべてを、教えてくださいませ」
・そして、あの書を指しました。
・“国の為、道の為”

・仁の覚悟は、決まった。
・あれこれ考えず、自分のできることをする。

・後日、仁は、恭太郎にこう話した。
・「龍馬さんの最後の言葉は、この国をちゃんと作れたのか、でした」
・「死んでいった人たちにできるのは、その人たちが、もう一度生まれてきたいと思う国を作ることだって、ずっと思ってたんだと思います」
・「このことを忘れずに、前を向きませんか?」

・それから仁は、仁友堂を続けながら、医学所や医学館での講義も、あらためてはじめた。
・頭痛は前にも増して頻繁になってきたけど、仲間の協力を得て、やれることをやる。

・しかし世は、再び戦に。
・官軍は、品川にまで迫っていました。


・坂本龍馬がいなくなった。
・ということは、あの包帯の患者は、仁自身か?
・あんな腫瘍を放置すれば、確実に死に至る。
・だとしたら、生あるうちに、持てるすべてを、伝えよう。
・それは、明日につながるはずだから。
・命を救う技術は、刻みつけられていくはずだ。
・この人たちの手に、目に、心に。
・生き残る術を、命の螺旋が刻むように。


・その時、声が聞こえました。
・「その通りぜよ、せんせえ」
・「ここぜよ、せんせえ」

・その声は、あの赤ん坊の形をした奇形腫から?

・頻繁に頭痛に苦しむようになった、仁。
・仁を救うには、現代に戻るしかないのか?





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「他の道│JIN -仁- 第9話」

  • 2011/06/13(月) 18:55:48

JIN -仁- 第9話「坂本龍馬、暗殺」


<感想>

変わらない、変えようのない、そんな歴史は、あるのかもしれない。

今現在だって、未来のある部分は、決まっているのかもしれない。

変えようのない未来が、そこに待っているのかもしれない。


行く先は、決まっている。

もう、変えられない。


でも、たとえ行く先が決まっているとしても、その過程は、どうだろう?

決まっていること以外は、どうなんだろう?

決して変えることのできない未来と、変えることが可能なその周辺との境界は、いったいどこにあるのだろう?


変えられないなら、そこには手を出さなくてもいいのかもしれない。

でも、変えられる部分、変えてもいい部分には。

いや、そこは実は、変えるべき部分なのかも…




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<あらすじ>


・橘咲(綾瀬はるか)に迫りくる龍馬暗殺を伝えようとした、南方仁(大沢たかお)。
・その瞬間に、激しい頭痛に襲われました。
・未来(みらい)の映像と共に聞こえる声。
・「おまんは、わしじゃ」
・この声は、坂本龍馬(内野聖陽)?
・友永未来(中谷美紀)は、笑顔で言う。
・「きっとまた、いつか会えるから」

・これを見せているのは、歴史の修正力なのか。

・仁をかばったことから、橘恭太郎(小出恵介)は上司から叱責を受けます。
・恭太郎は、京に上り龍馬を暗殺する指令を受けることに。
・もし失敗したら、咲と母の命の保証はないと、脅されます。


・倒れる前に仁が漏らした言葉から、咲は言いたいことを察しました。
・「あん」は暗殺の暗。
・坂本さまは、28日先に暗殺される?

・仁は咲の協力を得て、京に旅立つことに。
・また、助けになるだろうと、佐分利祐輔(桐谷健太)にも同行してもらいます。

・仁のために通行手形を手配した、勝海舟(小日向文世)。
・彼もまた、仁が助けたい相手とは龍馬のことなのだろうと、感づいていた。
・勝は龍馬のことを、仁に託します。

・咲は先日、仁にこう言っていた。
・「すでに先生は、歴史を変えておられるのではないでしょうか?」
・確かに、船中八策は、九策になっていた。
・仁は思う。
・歴史は変わらないわけじゃない。
・だけど、龍馬さんを助ける前に、俺はこの頭痛に殺されてしまうことはないんだろうか?


・仁は、考えずに進むことにしました。


・慶応3年、10月25日。
・仁一行は、京へと旅立ちます。

・それを見守る、男が一人。
・三隅俊斉(深水三章)。
・仁に恨みを抱くこの男は、何をしようとしているのか。


・暗殺を防げなかった時のことを考えて、仁は佐分利に同行を願った。
・手は多い方がいいし、この時代の者がすることに、歴史の修正力は介入しないかもしれない。
・現に、野風(中谷美紀 2役)の出血点を見つけたのも、佐分利だった。
・ひょっとすると、切り札になるかもしれない。

・旅の途中、仁は考える。
・何の根拠もないけれど、俺は信じようとしていた。
・自分は、龍馬さんを救うために、ここに来たのだと。
・龍馬さんが、坂本龍馬が死なない歴史を作るために、ここにやって来たのだと。
・ただひたすらに、信じようとしていた。


・あの日、ふたりは、約束した。
・「南方仁がおれば、坂本龍馬は死なん!」
・龍馬は、力強く、そう言った。
・その瞳を見つめつつ、仁も返した。
・「助けますよ、俺が、この手で」


・駿河国、丸子宿。
・仁は、焦っていました。
・はやく京に到着したい。

・ひとり夜道を進もうとした仁ですが、村の者が診察を願ってきました。
・そこは、無医村だったのです。

・その村に、恭太郎も宿をとっていた。
・恭太郎は母宛の手紙をしたためる。
・「訳は申せませぬが、わたしが最後まで徳川の家臣として生き、死んでいったこと、それだけは確かで…」

・恭太郎は仲間から、仁らの動向を探るように、命じられます。
・それとなく、仁一行の前に現れた、恭太郎。
・あいさつ程度の話をした後、咲と話がしたいと申し出ました。

・橘の家に戻ることを考えてくれないか?
・恭太郎は咲に、そう言った。
・できれば、仁と一緒に戻って欲しいと。
・思えば、あの頃は、楽しかった。
・咲がいて、仁がいて、たくさんの人が集った。
・兄の様子がどこかおかしいと思いながら、咲は「考えてみます」と返事を。


・治療を終え、早朝に、仁一行は出発。
・そこに恭太郎が現れ、仁に願いました。
・「咲を、よろしくお願いします」
・「末永く、よろしくお願いします」


・龍馬は新官制擬定書を策定、新政府綱領八策と共に、西郷隆盛(藤本隆宏)に見せました。
・薩摩、長州、土佐、越前、公家と、新政府の核となる人たちが記されています。
・が、その中心となる人物の名だけが、「○○○」となっている。

・大久保一蔵(眞島秀和)は激昂しながら、そこには慶喜公が入るのかと、問いました。
・徳川は最大の大名であり、政権を返上したにもかかわらず、臨時の政権を担っている。

・龍馬はとぼけながら、答えました。
・「そりゃ、えい! さすが、大久保さんじゃ!」
・徳川は見様によっては新政府の最大の立役者であるし、外せば必ず、ややこしいことになるだろう。
・なので、その案がいいと。
・すっとぼけながら、自分の案を、大久保の案のように語った。

・立ち去ろうとする龍馬を、西郷が止めました。
・ここには、龍馬の名がない。

・龍馬は言いました。
・「わしゃ、そろそろ、こういうことから、身ぃを引こうと思うとるがじゃ」
・世界の「かいえんたい」でも、やろうかと思う、と。
・海の向こうには、見たこともない女子(オナゴ)が、山のようにいるらしい。
・金髪、赤髪、黒髪、青い目に鳶色の目、白い肌に褐色の肌、いろんな女子がいる。
・これからは海の向こうの女子と縁を結ぶと書いて、「海縁隊」とする。
・「嘘やないぜよ」と、龍馬は笑った。

・龍馬が帰った後、大久保は、もうあの男に踊らされるのはこりごりだ! と、席を立ちました。
・それを西郷は一喝します。
・「ならん!」
・厠(かわや)に行くだけだと言う大久保ですが、その目の奥は…。


・東修介(佐藤隆太)は龍馬に、新政府に入らなくていいのかと、あらためて問いました。
・龍馬は言う。
・わしはもともとええ加減で、尊王やら攘夷やら、流行りものに飛びついたようなところもある。
・けれど、その中で、山のような死に出会った。
・身を守るためとはいえ、この手で殺めた人もある。
・「そいつらがもっぺん生まれてきたいと思う国にするがが、生き残ったもんの役割じゃち、今日まで走ってきたがやけんど、小便もゆっくりできんような暮らしは、もうこりごりぜよ」

・坂本さんらしいと、東は言いました。
・この後どうするかと問われた東は、こう答えた。
・「ずっと坂本さんの護衛をします」
・志士として志半ばで亡くなった兄のため、果たしたいことがあったが、大政奉還の建白を読んだ時、もうよいのではないかと思った。
・この国にもう一度生まれてきたい。兄は今、きっとそう思っているだろう。

・「よし、東!」と、龍馬は語りかける。
・「おまえも世界中の女子と、アバンチュールぜよ!」

・はい、と東は満面の笑みを。

・そんな顔をしていたのかと、龍馬はあらためて東の顔を見ます。
・厳しい表情の奥には、そんないい顔が隠れていたのかと。


・仁一行は、伏見に着きました。
・寺田屋という船宿を訪ねると、女将のお登勢(室井滋)が応対してくれた。

・何とか龍馬と連絡を取りたい仁ですが、龍馬は身を隠しており、居場所が分かりません。
・京都中を探しますが、時が流れるばかりで、見つからない。


・そして仁友堂に、危機が。
・突然、たくさんの人が訪れ、怒りと共に苦情を。
・石を投げる者までいる。
・また、役人が来て、山田純庵(田口浩正)が捕えられてしまった。
・いったい、何が起こったというのか。


・龍馬暗殺は、明日に迫った。
・そして当日、日が暮れようとしているのに、龍馬は見つからない。

・そんな仁に、声をかける者が。
・東修介でした。
・彼に案内され、仁と咲は、池田屋へ。

・その頃、大久保一派は見廻り組に、龍馬の居場所を連絡していた。
・池田屋にいると。

・ついに再会した、仁と龍馬。
・仁は龍馬の無事を喜び、京を出るように説得します。

・と、そこに、龍馬の名を叫びながら部屋に飛び込んでくる者が。
・刺客か?

・それは、中岡慎太郎(市川亀治郎)でした。


・夜8時頃、池田屋を、見廻り組が襲撃します。
・が、部屋は、もぬけの殻。
・龍馬の姿はない。

・仁や龍馬たちは、中岡も含め、寺田屋に。
・そこで、軍鶏(しゃも)鍋を囲んでいました。

・悪態をつきながら、中岡は帰ってしまった。
・そしてその帰路、何者かに襲われた。

・仁は、時間を気にします。
・はやく日付が変わるように、願う。
・今日という日が過ぎれば、暗殺は回避されたことになる。
・歴史が変わる。

・そしてついに、日が変わる鐘がつかれました。
・誕生日に、坂本龍馬が暗殺されることは、なかった。


・突然龍馬は、咲に席を外してほしいと願いました。
・仁とふたりで話をしたいと。

・「せんせえ、わしゃ昨日、殺されるはずやったかい?」
・龍馬は仁に、突然、そう話した。
・そしてわざわざ、守りに来てくれたのか? と。

・龍馬はまた、こう相談しました。
・「わしゃそろそろ、おらんようになっても、ええかえ?」
・もうこの辺で国に関わるのをやめていいか? と。
・「せんせえは、わしの道しるべやったきにぇあ」
・そう話す、龍馬。
・はじめて仁先生と会った頃は、よく分からないままに、攘夷派の志士を気取っていた。
・これは正しいのかと疑ってはいたが、他に何をしていいか分からないまま、流されていた。
・「けんど、せんせえが、たったひとりで、コロリの治療をやりゆうがを見て、わしも恐れずに、自分が正しいと思うことをやろうと思たがじゃ」
・長州での戦の時も、そうだった。
・あの戦は必要な戦だと、これしかないと、無理に己に言い聞かせていたところがあった。
・「せんせえに怒られ、わしゃもっぺん、考えてみようと思うたがじゃ」
・「せんせえはわしにとって、夜の海に光る道しるべじゃ」
・「わしゃ、ただそこを目指して進んじょっただけのような気ぃがするぜよ」
・だけどもう、拳銃を持ち歩くような暮らしはこりごりだし、他にやりたいこともあるし、ここらで手を引こうと思っている。
・龍馬は、そう話した。

・仁は心の中で思う。
・それは、何よりうれしい言葉だった。
・だけど、なぜか、別れの言葉のように聞こえた。
・龍馬さんが国に関わることをやめたら、俺とのつながりも、終わりじゃないかと思えて…



・仁は、自分がこの時代に来た経緯を話そうとしました。
・が、その瞬間、あの激しい頭痛に襲われた。

・苦しむ仁を見て、龍馬は咲を呼びに階下へ。

・その頃、外では、東と恭太郎が遭遇。
・斬り合いになっていました。
・さらに恭太郎の仲間が加わり、1対3の戦いに。

・その物音を聞きつけ、龍馬は「ほたえな!」と叫ぶ。
・外を見ると、東が戦っていました。
・戸を開け、外に出る龍馬。

・懐から拳銃を出そうとしましたが、それは部屋に置いてきていた。
・ハッとする龍馬に、恭太郎が剣を向ける。
・その表情を見て、龍馬は悟りました。
・「咲さんと栄さんを、人質にとられたかえ?」
・「わしを斬ったら、死ぬつもりかえ?」
・「まっこと、それより他に、道はないがかえ?」

・そこに、仁と咲も駆けつけました。
・何とかしたい仁ですが、激しい痛みで動けない。
・それでも、這って進みます。

・涙をためながら、恭太郎が剣を振り上げる。
・その剣先が、龍馬の頭へ。

・が、間一髪、それを東が防ぎました。
・龍馬は、救われたのか?

・その時、倒れていた恭太郎の仲間が、龍馬に突進。
・東は目を閉じ、体を反転させて、剣を振る。

・その切っ先が、龍馬の額へ。
・横一文字に、入った。

・倒れる、龍馬。
・このまま死んでしまうのか?





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仁が来たことで、少しずつ、歴史が変わっていた。

橘恭太郎は、死ぬはずだったかもしれない。

その恭太郎が、龍馬暗殺に任命されてしまった。

何とか龍馬を助けようと奮闘する、仁。

それを修正するように、死ぬはずだった歴史のイレギュラー、恭太郎が動かされる。


もうひとりの死ぬはずだった男、東修介。

この男も、龍馬と関わることに。

そして、龍馬暗殺が回避されたかに思えた時、歴史のイレギュラーが集い、こんな結果に。


いや、まだ結果は出ていません。

この先、仁はどう動き、どんな結果が待っているのでしょう。


来週は最終章の前編らしい。

龍馬の命は、救われるのか…





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「いろんな嘘│JIN -仁- 第8話」

  • 2011/06/06(月) 16:17:48

JIN -仁- 第8話「歴史に逆う命の誕生…」


<感想>

龍馬は、薩長を欺いてやろうとした。

あるいは、土佐藩や幕府まで欺こうとしたのかもしれない。

嘘をついてでも、内戦を回避しようとした。

紆余曲折の末に確信した、大政奉還という最善の方法。

それを成すことを第一に、何でもしようとした。


南方仁も、嘘をつこうとした。

野風を救うために、お腹の子をあきらめようとした。

が、それは、野風が望むことではなかった。

命懸けの想いを知った仁は、麻酔なしの手術に踏み切ります。

目指す第一を、変えた。

変えた上で、それ以上を救おうとした。



仁が、龍馬が、咲が、野風が、未来を作ろうとする。


仁は思った。

自ら望む未来を、この手で作り出すだけだ。

歴史は、変えられないと決まったわけじゃないんだから。



歴史の修正力というものがあって、直接は変えられないのかもしれない。

でも、それならば…




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<あらすじ>


・大政奉還をしかけようとする、坂本龍馬(内野聖陽)。
・歴史を知る南方仁(大沢たかお)にとってそれは、龍馬暗殺の日が近いことを意味する。
・しかし、詳しい日にちまでは分からない。
・ヒントとなるのは、友永未来(中谷美紀)の言葉なのですが、記憶があいまいで、思い出せません。

・武力討伐がはじまるより先に、幕府が政(まつりごと)を朝廷に返す。
・薩長も、政権を手放したものに対し、武力討伐できないだろう。
・これが内戦回避のための、龍馬が描いたシナリオでした。

・仁と龍馬の関係を探るように命じられた、橘恭太郎(小出恵介)。
・両者の関係を隠すため、ふたりが写った写真を盗み出し、焼却した。
・上司には、今ふたりは交わりを断っていると報告しました。


・龍馬に、暗殺のことを知らせたい。
・しかし、直接話そうとすると、歴史の修正力によるものか、激しい頭痛に襲われる。
・そこで仁は、ある賭けに出ました。
・直接的な表現は避け、隠喩にて知らせる。
・仁は以下のような手紙を、龍馬に送った。
・頭痛には襲われましたが、何とか書くことができました。

“土の龍
 道に果てつる
 寒き京

 ご注意を”



・本当なら龍馬のもとに駆けつけたい仁ですが、10月には野風(中谷美紀 2役)の出産を控えている。
・橘咲(綾瀬はるか)はできるだけのことを覚えようと、産婆さんのもとへ通います。

・1867年、秋。
・久留米の田中久重(浅野和之)から仁宛てに、届け物が送られてきました。
・電気を使った無尽灯。
・これなら、夜の手術に助かる。


・龍馬のことが気がかりな、仁。
・そんな様子を見て、咲は、もう一度 文を出してはどうかと、提案しました。
・しかし仁は、手紙が届かないのも歴史の修正力によるものだという気がする、と答えます。

・咲は、未来(みき)の写真が入っていた箱に触れ、言いました。
・写真なるものは、消えたまま。
・先生の知っていた未来さんは、野風さんと大殿さまとの間の子孫であったから、消えてしまったのではないでしょうか。
・咲は言いました。
・「だとすれば、既に先生は、歴史を変えておられるのではないでしょうか?」
・「薬や医療のことなどはもちろんですが、生き死にに関わることでも、歴史の修正力が働かぬことも、あるのではないでしょうか?」

・「でも」と、仁は言う。
・少しでも変えてしまったが故に、もっと悪くなることはないのだろうか?
・例えば、野風さんの血筋が断たれるとか、そういうことは起こらないだろうか?

・咲は答えました。
・「修正力がどう働こうが、先生の望みは、変わらぬのではございませぬか?」

・仁は、思った。
・俺の望む未来(みらい)は、野風さんが子供を産み、未来(みき)が生まれ変われること。
・そして、坂本龍馬が暗殺されない歴史を作ること。
・自ら望む未来を、この手で作り出すだけだ。
・歴史は、変えられないと決まったわけじゃないんだから。



・野風が、仁友堂にやって来ました。
・出産の日は、近い。

・子は順調で、母体も異常なし。
・この具合だと、出産は月の終わりか。
・ガンの進行もほとんどないようで、すべてうまくいきそうな気配。
・野風は愛おしそうに、お腹を撫でました。

・松本良順(奥田達士)に呼び出された仁は、奥医師になることを勧められました。
・将軍さまからの、ご指名らしい。
・松本は、龍馬との関係について、心配していた。
・このままでは、仁や仁友堂も疑われるかもしれない。
・仁友堂が苦境におかれぬためにも、奥医師になった方がいいと言います。

・その話を立ち聞きし、仁に話しかける者がありました。
・三隅俊斉(深水三章)。
・この男は、野風の乳がんを見抜けず、仁に面目をつぶされたことがあった。
・実は、和宮毒殺未遂事件の黒幕も、この男です。
・この男の存在が、仁にどう影響するか。


・順調に思えた野風ですが、あることが発覚します。
・どうやら、逆子になったらしい。
・戻らなかった場合、どうすべきか。
・現代だと帝王切開するところですが、仁友堂にある麻酔では、胎児には強すぎる。

・とりあえず、福田玄孝(佐藤二朗)が灸を試みてみることに。
・「切羽詰まった顔はよしましょう」と笑った。


・大政奉還を画策する龍馬ですが、なかなか幕府は呑んでくれない。
・そうしているうちに、薩摩藩邸に連行されます。
・そこで、大久保一蔵(眞島秀和)に詰問された。
・大政奉還の建白は、武力で幕府を倒そうとしている薩長への裏切りだというのです。

・何とか誤魔化そうとする、龍馬。
・これは壮大な茶番であると、説明しました。
・戦で敗けたわけでもないのに、政を還すという話を徳川幕府が呑むはずがない。
・また、影で勅許をもらって武力で討幕するのは、聞こえがよくない。
・それだったら、正面から建白し、それでも通らなかったら、武力討幕も仕方ないと、そうなるだろう。
・どうせ、幕府は断ってくる。
・そうしたら、挙兵したらいい。

・そんな考えだったら、どうして事前に話してくれなかったのか?
・西郷隆盛(藤本隆宏)は、そう聞きました。
・龍馬は、敵を欺くにはまず味方からだと、煙に巻こうとする。

・が、西郷の口からは、さきほど勅許が下ったという旨が。
・なので、このまま挙兵すると。

・慌てる、龍馬。
・腹を決めて西郷の前に座り、言いました。
・助けられた者は、助けられた恩を感じる。
・力でねじ伏せられた者は、ねじ伏せられた恨みを忘れない。
・戦は戦を呼ぶ。
・「どっちが新しい国を作りやすいと思うがぜよ」

・それが本心かと、西郷は言った。
・勅許の件は、嘘だったのです。

・猛り狂う薩摩藩士を前に、龍馬は説明しました。
・「みんなあが一所懸命やっちょるがは、この茶碗の中のケンカじゃ」
・「こんなもんは、ほれ、外から指1本で倒されてしまいぜよ」
・「国中の戦が長引けば、列強に漬け込まれ、植民地とされるがじゃ」
・「討幕は叶っても、属国となっては、元も子もないろう?」
・「頼むき、真の利は、なんたるか…」

・しかし、西郷は反論する。
・「人は、義だけで生きるわけではごわはん」
・「人には、情ちゅうもんがごわす」
・「己の裏をかいた相手を、信じるこつはできもはん」
・「ねじふせられんかったこつを、ありがたがるようには、できておりもはん」


・ついに、陣痛がはじまりました。
・逆子は少し回りはじめているが、そのせいでお産が早まったのかもしれない。

・咲は陣痛の合間に、お腹の子に話しかけながら、逆子を回そうと試みます。
・そんな様子を見て野風は、「咲さまは、真っ白でありんすなあ」と。
・あちきが子を産めば、先生の想い人をもう一度、作ることになるかもしれないのに、と。

・わたくしの心は真っ黒でございますよ。
・野風の背中をさすりながら、咲はそう話した。
・いつもいつも、つまらぬ嫉妬ばかりで。
・その度に、己が嫌になります。
・野風さんは、いつも見返りを求めない。
・なのにわたくしは、そのような気持ちには…。


・やがて、夜が明けました。
・そして、赤ん坊が。
・が、出てきたのは、手だけ。
・子が横向きになり、そのまま出てこようとしている。
・野風の脈をとった仁の顔色が変わりました。

・陣痛がはじまってから、15時間。
・母体の衰弱も激しい。
・そもそも、普通の体ではない。
・仁は佐分利祐輔(桐谷健太)らに、子供をあきらめる旨を告げました。
・産ませてやりたいのはやまやまだけど、他に方法がない。
・麻酔なしで帝王切開し、母体が途中で息絶えれば、胎児を無事とりだすことができなくなる可能性もある。
・どちらか一人でも、確実に助けるとするなら、母体しかない。

・野風が手術室へ運ばれます。
・仁は隠したまま、処置しようとした。

・が、野風はそれを見抜きました。
・「嘘は、下手でござんすなあ」
・腹を切って欲しいと、野風は懇願した。
・麻酔なしで、このまま切って欲しいと。
・「あちきは、郭(くるわ)の中の、籠の鳥でござんした」
・「行きたい所にも行けず、会いたいお方にも会えず」
・「けんど、この子は、ちがいんす」
・「野山を駆け回ることも、愛しき方と肩を並べ歩くことも、何だってできんしょう」
・「天翔ける鳥の如く、生きていけんしょう」
・「どうか、あちきの夢を、奪わないでくんなし!」

・帝王切開をいたしましょう。
・そう声を上げたのは、咲でした。
・大丈夫です、女子は子を守るためなら、どんな痛みにも耐えられまする。
・そう訴えた。

・「あちきは、死にんせん」
・「この子を抱くまでは、決して死にんせん」
・そう訴える野風の目を見つめ、仁も決心します。
・麻酔なしで、帝王切開する。

・が、帝王切開は、ほとんどやったことがない。
・さすがの仁も、手が震えました。
・その手を、そっと咲が包み込んだ。
・そして、「未来さんが、必ずお守りくださいます」と。
・先生をお慕いしているから分かる、と。
・「未来さんは、たとえ己が消えようとも、先生の幸せを願っておられるはずだからでございます」
・「野風さんと同じように」


・手術が、はじまりました。
・麻酔なしで、メスが入れられる。


・同じころ、龍馬は願掛けの酒を呑んでいました。
・手には、仁と一緒に撮った写真が。
・写真の仁に向かって、龍馬は話しかける。
・「わしは信じたぜよ。死にかけちゅうもんのことは、せんせーが一番よう知っちゅう」
・「国も一緒じゃ」
・「死にかけちゅう国を生き返らせるには、せんせーの言うことが一番正しいがじゃろうと、信じたぜよ」


・皮膚を切開し、中を切開する。
・想像もできない痛みを、野風は耐えます。
・そしてやがて、胎児が。

・胎児は、無事とりだされた。
・が、泣かない。
・絶望に包まれそうになる中、咲は赤子の足をつかみ、逆さにして、お尻を叩いた。
・泣きなさい!
・そう言いながら、何度も叩く。
・泣いて! と、神に願うような気持ちで、何度もぶった。
・泣け!

・と、病室に、赤子の泣き声が響いた。
・命の声が、みんなに聞こえた。

・が、それと同時に、野風が意識をなくしました。
・子宮からは、出血が。
・仁は、お初のことを思い出します。
・まさか、歴史の修正力?
・と、激しい頭痛に襲われ、仁は倒れそうに。

・それでも仁は、力をふりしぼる。
・脈が停止した野風に、心臓マッサージを。
・「子供を抱くんじゃなかったんですか?!」
・「歩くのを見るんじゃなかったんですか?!」
・「声を聞くんじゃなかったんですか?!」
・「絶対に死なないって、そう言ったじゃないですか!」
・「神は乗り越えられる試練しか与えないんじゃないのか!」
・全身全霊を込めて、野風を生かそうとする。

・それが通じたのか、脈が戻った。
・出血点も、見つかった。
・仁友堂みんなの活躍で、野風の命は救われた。


・そして京では、大政奉還が成ったとの報が。
・龍馬は叫ぶ。
・「世ぉが明けたぜよ!!」


・生まれたての赤ん坊に、咲は話しかけました。
・「あなたはね、わたくしの恋敵をお作りになる方なのですよ」
・「わたくしとしたことが、たいへんな方を、とりあげてしまいました」
・「あなたに、ひとつだけお願いがあるのでございます」
・「どうか、南方仁という方に、傷つくことが多いあの方に、誰よりも幸せな、今度は誰よりも幸せな未来を、与えて差し上げて下さい」

・野風の子は、“安寿(あんじゅ)”と名付けられました。
・フランス語で、“ange”、天使のことです。

・その名を、野風は、たいそう喜んだ。
・安寿 ange 、そう彫られた銀のスプーンが送られます。
・西洋では、子が一生豊かに暮らせるようにと、誕生の祝いに送られる。


・それを光景を見て、仁は思い出した。
・あの日、未来が言っていた言葉を。
・「坂本龍馬と、同じですね」
・「龍馬が死んだ日も、確か、誕生日」

・仁は、勝海舟(小日向文世)のもとへ走った。
・そこで、大政奉還が成ったことを聞かされます。
・また、船中八策を見せられた。

・が、それは、九つの策に変わっていました。
・議会の設置や、天下の人材を顧問に据えること。
・それと共に、仁が話した保険制度のことが。
・みなが等しく必要なる医療を受けられ、健やかに暮らせる、保険なる仕組みを作ること。
・九つ目に、そう書かれてあった。

・歴史は、修正されたのだ。
・思わぬところで、仁に触れたことで、龍馬が新たなものを創造した。

・仁は、確信する。
・いるはずのない俺の足跡が、歴史に刻まれていく。
・坂本龍馬の手で。
・歴史は、変えられないわけじゃない。



・仁は、龍馬の誕生日がいつか、勝にたずねました。
・龍馬の誕生日は、11月15日。
・あと1ヶ月。

・龍馬に宛てた手紙は、密偵により回収されていました。

・仁は、京に行くことを決意します…





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「未来への道│JIN -仁- 第7話」

  • 2011/05/30(月) 19:07:56

<感想>

野風は、子供を産むことで、未来を作ろうとする。

咲は、それを救うことで、未来を作ろうとする。

龍馬は龍馬で、日本の未来を考え、奔走する。


みな、限られた選択肢の中で、何かを選び、未来を創造しようとする。

できることを、時には命を懸けて、やろうとする。

ある時は何かを捨て、ある時は何かを選ぶ。

絶望したり、泣いたり、それでも生きて、何かをする。


すべきことを明確にした人は、強い。

野風も、咲も、龍馬も、仁友堂の仲間も、だんだんとすべきことを見つけ、それに力を入れるようになった。


そのきっかけを作った、南方仁。

彼自身が歴史を修正することはゆるされないけど、今を生きる彼らが歴史を修正することに対しては、どうだろう?

となると、触媒としての、仁の役割は、どうなるのだろう?

あるいは、それこそが、神の…




JIN-仁- DVD-BOX



JIN―仁― 20 (ジャンプコミックスデラックス)





<あらすじ>


・現代にいた頃、病室で、友永未来(中谷美紀)が言っていた。
・「坂本龍馬と同じですね。龍馬の死んだ日も、確か…」

・そんな夢を見た、南方仁(大沢たかお)。
・長崎から、江戸に戻ります。

・仁友堂に着くと、橘咲(綾瀬はるか)が、足を洗ってくれました。
・咲は、仁が無事に帰ったことを、心から喜びます。
・そんな様子を見て、仁の心も、ほぐれる。

・咲の兄 橘恭太郎(小出恵介)は、坂本龍馬について探るように、上役から言い渡されました。
・その恭太郎に、仁は、長崎で龍馬とケンカ別れしたことを話します。
・恭太郎は、しばらく龍馬とは付き合いを控える方がいいと、助言しました。

・やがて、仁の耳に、一橋慶喜が将軍になったことが聞こえてきます。
・いよいよ、徳川の時代が終わることになる。
・ということは、龍馬暗殺の日も近い。
・仁は、何とか歴史を思い出そうとします。
・龍馬暗殺は、確か、大政奉還の後。
・でも、それがいつだったか、正確に思い出せない。
・となると、手がかりは、未来(みき)との思い出になる。
・あの時、未来は、何と言ったのだろうか。

・その時、仁は頭痛に襲われました。
・歴史を変えたいと思うと、必ず激しい頭痛に襲われる。
・やはり、タイムスリップする前に会った包帯の男は、仁自身なのか?
・そして、この頭痛のもとは、あの赤ん坊の形をした腫瘍?
・仁は思った。
・漠然と、いつか現代に戻されると思っていたけど、俺は、この頭痛に殺されることを、覚悟しなければいけないのかもしれない。龍馬さんの暗殺を止めようとするならば。歴史を変えようとするならば。
・何かないのだろうか? 歴史の修正力を欺けるような方法は。



・仁に、2通の手紙が届いていました。

・1通は、坂本龍馬(内野聖陽)からの物。
・長崎で一緒に撮った写真が入っていました。
・裏に、こう書いてある。
・“長芋の、中より出でたる虫たちの、江戸の芋にも、すくいたるかな”

・芋は薩摩で、長芋は、長州と薩摩のこと。
・つまり、長州と薩摩から出てきた人間がこれからは江戸に巣食うだろう、という意味?

・もう1通は、野風(中谷美紀 2役)からの物。
・幕府から許可が下り、ジャン・ルロン(ジャン=ルイ・バージュ)と正式に結婚するのだという。
・横浜で婚礼するので、仁と咲に来てほしいと書いてある。


・横浜へと旅立った、仁と咲。
・野風との再会を喜びます。
・ルロンと野風は、婚礼が終わったらフランスに旅立つのだという。

・仁と咲との関係を心配する、野風。
・仁が成り行きを説明しようとすると、咲はシャンパンを飲んで、誤魔化そうとしました。
・ワインなどを次々に飲んだ咲は、酔っ払ってしまいます。
・そのせいか、本音がチラリ。
・野風さんは幸せなのだろうか? もし幸せならば…
・「よいのでございましょうか、わたくしも、よいのでしょうか? 幸せになりましても」
・じっと仁の顔を見つめる、咲。
・「わたくし、おばばになってしまいますよ」と。
・「もともと、おばばのおばばでございますけどね」
・そう言うと、眠ってしまいました。


・野風は、仁に診てもらいたい人がいると、申し出ました。
・その患者とは、野風自身。
・彼女は、左の脇の下に、いくつか、しこりを感じていました。

・診察すると、ガンの転移が疑われました。
・仁は、手をついて謝罪します。
・あの時もっと徹底していれば、こんなことにならなかったかもしれない。

・しかし、野風はむしろ、感謝しているという。
・あの時、死んでしまうはずだったのが、助かったばかりか、このような幸せな人生を送れている。
・野風は言いました。
・「先生には、感謝しかござりんせん」

・野風は、身ごもっていました。
・新しい命が、宿っている。
・2年の生存率が5割と聞いても、むしろ、喜びました。
・それなら、この子を抱ける。
・笑い顔を見ることも、声を聞くことも、できる。
・手をつなぎ、歩くことも、できるかもしれない。

・お腹の子は夢なのだと、野風は話しました。
・この先そう長くは生きられないけれど、この子は、何十年も生きていける。
・この子が子を持てば、それこそ、100年、200年、後の世までも、野風の血は流れる。
・その営みの中で、野風は永久に生き続け、その子の血となり肉となり、目となり、未来を見ることができる。

・仁は思う。
・あるいは、その子が、友永未来の生まれ変わりへと続いていくかもしれない。
・しかし、歴史の修正力は、それをゆるすのだろうか?
・未来が別の人間として生まれ変わることを、歴史を変えることと みなさないでくれるだろうか?


・二日酔いで目覚めた咲に、野風は、昨日先生にいつ結婚してくれるのかと叫んでいた、と耳打ちを。
・が、「たわむれでありんす」と、すぐに微笑みました。
・ホッとする、咲。
・すると今度は、「というのは、たわむれでありんす」とも。
・愉快そうな、野風でした。

・ふたりきりになると、仁は咲に、野風の病状について話しました。
・そして、野風の子供に対する気持ちも。


・純白のウエディングドレスに包まれ、野風の結婚式は執り行われた。
・咲はその姿を、まるで天女のようだと。

・この美しい人にどれほどの愛情をもらってきたのだろうと、仁は思う。
・幸せとはいえない人生の中で、やっとつかんだ、たったひとつの夢。
・俺はその夢すら、叶えてやることもできないのだろうか?


・野風さんの夢は叶うのではないでしょうかと、咲は言った。
・「未来の人間である先生が歴史を変えることに対して、歴史は修正を加えようとするのかもしれません」
・「けれど、もし、これは野風さんが、この時代の人間が、強い意志を持って未来を変えたいと願ったことだとしたら、それはもはや、修正されるべき歴史ではなく、ただの歴史なのではないでしょうか」
・「野風さんはおそらく、御存知なんです」
・「先生が未来から来たということも、先生の想い人が自分の子孫であるかもしれないということも」
・「だから、命を懸けても、産みたいんです」
・「後の世で、先生に出会うべきお方を、野風さんはもう一度作って差し上げようとしておられるのではないでしょうか」
・「かような夢を握りつぶすほど、天は無慈悲ではないと、わたくしは信じとうございます」
・「写真が無くなってしまったのは、未来さんが新しく生まれ変わるという、天の声だと」

・野風は幸せに包まれ、咲にブーケトスを。
・咲は、しっかりと、それを受けとりました。

・咲は仁に、野風の赤ん坊を取り上げさせてほしいと願い出ます。
・「先生には関わりのない、ただのわたくしたちの歴史とするために」

・仁は、未来(みき)の言葉を思い出した。
・「いいよ、仁先生。きっと、またいつか会えるから」
・そういう意味だったのか、と、今になって仁は思う。


・野風と子供、ふたつの命を救わねばならない。
・そう思った瞬間、咲は、龍馬の手紙の意味に気づきました。
・あれは「巣食う」ではなくて、「救う」では。
・江戸を救うという意味なのではないかと。

・そして新たに、龍馬から手紙が届きました。
・あの詩のような心持で、また走り回っていると書いてある。
・なかなか難しいが、戦をせずにこの国を建て直せないかと、無い知恵を絞っていると。
・この間、ふと野風のことを思い出した。
・野風は、真の心根を押し隠し、嘘ばっかりついていた。
・けれど、大切なものを守るためには、野風は嘘の鎧で固めなくてはならなかったのではないかと、そんなことを思った。
・そう、龍馬は書いてある。

・「せんせえ、わしゃ、これから、大嘘つきになるぜよ」
・「せんせえが教えてくれた、明るい道をつぶされんように、すべてを欺いて、こん道を未来へつないでみせるぜよ」


・龍馬は起死回生の方法、大政奉還を目指します。
・が、それは…





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